小説CLUB『 Lyrical Essay・我が愛する男たちよ!』
川田あつ子

アネモネの花言葉

 
 春の足音が微かに聞こえてきた・・・。この原稿が目に止まるのは、多分そんな頃だと思います。冬は得意でない種族は、もっと温かくなって、との思いで毎日を過ごし、まだ遊び足りない種族は、これでもかッと最後の追い込みで雪を求めていく。 春になっても生活に変化を持たない時は、誰もがそんな感じですよね。でもこれから社会にはばたく人、進学、クラス替えになる人も、自分の運命に心を揺さぶられているのではないですか。春は新しい出会いを迎える。でもその裏側に辛い別離が潜んでいたりもする。
 
 寄せ返す波もはしゃいできているのに、遠くの景色も色づき始めてきてるのに、一体何をしているんだろう・・・知らないうちに雑踏の中を潜り抜けて、バスに飛び乗り、色づく景色を背中で見つめ気が付くと、波打ち際で佇んでいた。それが自分自身だったりして驚いてしまうのがこの季節なんですよね。
 
 もう残り時間が少ないから、やり残した事は今すぐに挑戦してみましょうよ。やらなかった事を悔やむより、やってしまった事を悔やむ方がずっと前向きだから。前向きな後悔は心の中で〃経験と反省〃に姿を変えて自分を助けてくれるから。
「男は優しくなければ生きていけない、強くなければ生きて行く価値が無い。」
 
 どこかの映画のコピ−です。〃男〃を〃人〃にして読んでみると、ここで言う〃優しさ〃とは、ただ優しいだけではなくて、心の在り方だと気づきます。心の広さ、視野の広さという事で〃強さ〃というのは〃勇気〃という事、臆病であっても、その臆病さに決して臆さない事だと語っている気がするのです。人それぞれに、各々の考え方がある。だけど最低限のモラルさえ守るなら、各自が自分の考えを世の中で試してみればいいと思うのです。幸福の価値も、お金の意味も、愛の形も〃人〃それぞれ、でいいのでしょう。
だから狭い心で臆病さに負けたりすると自らを否定し無限の可能性を摘んでしまう。

『負けないで。ほら貴方、何を悩んでいるのか知らないけれど、気合を入れて元気になって、気を元に戻せば元気になるから、元気でいればそのうちその何かとも気が合うから、縁があれば気に入るよ。貴方の希望が夢ならば、叶う事が奇跡ならば、それこそ奇跡は気跡だから、気跡が奇跡を生む事は奇跡を見たら解るでしょう。気の跡だけでも残せたら、たとえそれが叶わずとも、きっと満足出来て、笑顔で振り返れるでしょう。
 
 でも、覚えておかなきゃいけない事は、結局解らない気付かない何かもあるんだという事。 例えば一年間決まった日にお花を贈り続けても、その意味も何も理解されない事もある。花言葉はおろか花の名前さえ調べられない場合もあるんだよ。 結局自分の気の跡を残す為にずっと贈り続けてみたりするんだ。微かな希望だけを信じて、でもその時には、それは振り向いて欲しいからじゃなくて、ただ何かを感じて欲しいだけなんだ。だから自分の決めた一年というサイトを履行するんだ。その間に素敵な何かがすでに現れていたりするくせに。一年前に一年と決めた自分との約束事は守り通してしまう。
 
 変だよね。好きだ、と言う前にはいい関係だったのに、そのまま消えていってしまう何かもあるんだから。そして
「まっいいか、あの頃あれだけ一所懸命頑張ったし、一年間自分との約束を守ったんだから」 なんて思って完全に卒業していく。そしてきっと、も と月日が流れると「若かったなあ」なんて独りで自分を笑えたりする。心が大人になっていくんだ。 そんな事を何度も繰り返して、だけど年を幾つ重ねても、そうした初々しさはずっと持ち続けていきたいし、行くつもりだよ。出来るかどうかは分からないけれど、努力してみるつもりだよ、自分自身に。だってその方がずっと素直で純粋だと思うから。そういう事が出来る心とそれを受け止める心は常に両方兼ね備えていけたらいいと思うから。だから、貴方にもずっとそうで居て欲しいな。
 
 アネモネの花言葉は
「儚い希望・恋の苦しみ」
 何時覚えたんだっけなぁ〜。
 
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